始めに。相田君の思想的背景が虚弱なことは誰の目にも明らかだけど、そこはこれから伸ばせばいいとして、その行動力・熱意には私も一定の敬意を払います。 批評祭そのものが無意味だとも思いません。否定する形ではあっても、それを肥やしとして今後の発展を願う所存であります。
さて、今回筆を執ることにした直接的な要因は、
「フォーラムの常連は批評に関わろうとしない」
「書かないまでも、せめて読んでくれたらいいのに・・・」
「批評というものに対して偏見がある」
などという意見が散見されたからです。
・・・本当にそうか?
自分は個人的な付き合いもあって、今回の参加作品は8割方ちゃんと読んだ。
しかし結果としてはほとんどが箸にも棒にもかからない代物で、読む時間は無駄だったと言わざるを得ない。
たぶん他の会員も少なからず興味はあったと思う。でも2,3目を通して、ブラウザを閉じた。
違いますか?
【批評祭参加作品】私と世界との境界の外へと / 奥主 榮
http://po-m.com/forum/showdoc.php?did=201030
まず最初の9行で読み始めたことを後悔するタイプの文章。全体としても悪い意味で予想を裏切らず読みにくいことこの上ない。
そしてそれに耐えて得た結論が、
僕はそうした作品を全面的に愛する。肯定し、愛する。そうした作品が書かれていくことで、世界と個との、本来は一回性のものでしかありえないはずの関わりが確かめられていくからである。
数も多いので、ざっくりいきます。
「批評って…何だかよく分からないけど、書いてみました…」というようなものは良心的にスルー。
長いと感じた人は、とりあえず一番下まで飛んで下さい。
【批評祭参加作品】谷川俊太郎インタビューから考えた事 / 大村 浩一
http://po-m.com/forum/showdoc.php?did=201047
簡単にまとめれば「詩は時代と共に衰退していった。文化の豊かさという点でももっと詩は読まれるべきだ。短歌や俳句は伝統を重んじる保守的な姿勢によって守られた。詩は経済と結びついていないので売れない。詩に芸術性があったとしても低脳な読者には分からない。権威主義は死ね、俺たちが正しい批評を書く。というか、詩って本当にいいもんだよね。」
だいたいこういう感じの文章。「現代詩への価値観を背景で支えていた社会主義」云々は説明不足でよく分からんかった。
しかしそれを充分に補完したとしても、仮に本文でまるで言明されていない「じゃあどうするか?」をしっかり主張したとしても、私は「ふぅん、だから何?」という思いを抑えることができない。筆者はなんなのか。文学研究者なのか。詩人であるなら詩を書けよ。
研究資料としては下の下のものとして認めてもいい。だが読み物としては、客観的に見てもつまらんわ。
【批評祭参加作品】飢えを放つ / 清野無果
http://po-m.com/forum/showdoc.php?did=201057
3つ4つの詩を並べ立てて、やいゼロ年代はサバイバルだい、やい飢えを放つだいって言われてもね…。説得力以前に、面白くない。
別にエンターテイメントとしてじゃなくて、あらゆる意味で。
【批評祭参加作品】原罪と救済のパレード(反射熱 第五号) / 古月
http://po-m.com/forum/showdoc.php?did=201062
宣伝乙
【批評祭参加作品】客観描写ということ(高浜虚子) / 古月
http://po-m.com/forum/showdoc.php?did=201133
果たして「表現の壁に当たっている人」がこれを読んで壁を突き破れるか疑問だし、個人的嗜好からいえば客観ではなく主観で突き破ってほしいという想いもなくはないが、まぁひとつの意見としては有用か。狭い客層ではあるけど。ただ「批評」である必要はない。
『ひろげた本のかたち』の方は普通に結構面白かった。一般人が読んでも「へぇ」と思うんじゃないかしら。
【批評祭参加作品】西瓜割りを見物する人の群れ(詩における批評の風景) / 角田寿星
http://po-m.com/forum/showdoc.php?did=201068
タイトルが全て。本文は蛇足。
【批評祭参加作品】近代詩と現代詩の受容の違いについて / 岡部淳太郎
http://po-m.com/forum/showdoc.php?did=201078
【批評祭参加作品】迷子論序説 / 岡部淳太郎
http://po-m.com/forum/showdoc.php?did=201178
【批評祭参加作品】うたう者は疎外する/される / 岡部淳太郎
http://po-m.com/forum/showdoc.php?did=201336
これらをお読みになった方は、何というか、お疲れ様です。まぁ奥主氏のオナニーよりはまだ表現の形になってるね。
しかし酔っぱらいの文章だ。あなたがもし詩人であるなら、これを読んで得るものはあった? あるいはいい暇潰しにすることができた?
私は時間的にも、精神的にも、失うものの方が多かったように思う。こんなことをぐだぐだと思い煩うのははっきり言って害悪。
そしてもしあなたが詩人でないなら、本当にお気の毒様と言うしかない!
【批評祭参加作品】失われた「鈴子」を求めて / 香瀬
http://po-m.com/forum/showdoc.php?did=201197
今回「読んでよかったな」と思える数少ない作品。まずその長さに辟易とするが、途中でぶった切りしたって別に構わない。
その種の自由は常に読者にはある。そしてカットしたところで、あまり変わらない。
ともかく読み手によって印象は大きく分かれるだろうが、文芸批評が文学の土壌を耕すことを使命とするなら、こうした批評が最も忠実にその責務を果たしていると言えるだろう。
【批評祭参加作品】知らんがな【うさこ、戦う】 / 虹村 凌
http://po-m.com/forum/showdoc.php?did=201245
批評である必要はない。作品を挙げられた最果氏はいい迷惑だ(批評対象に人権なんかないという意見はあるにしても)。
しかしそれはそれとして、そこそこ読んでいて退屈しのぎになるという点で他の多くの作品より遙かにマシである。
>常に逃げ道を確保しながら書くスタイル(というか、このスタイルをとること自体に逃げ道が用意されている)、どうかなと思います。
という古月氏のコメントがあったが、「だからこそ良い」と私は言おう。
どこの誰だか知らない輩にがっつり角を突き合わせ、青臭い詩論や文学論をぶたれるのは私は御免だ。勘弁願いたい。
ただ、別に面白くはない。
【批評祭り参加作品】現代詩手帳散見 / リーフレイン
http://po-m.com/forum/showdoc.php?did=201201
「鮎川信男賞」やら「新人欄の半世紀」やらに興味はないが、これもあえて面と向かった批評ではなく日記的な文章へと逸らすことで
なんとなく読ませつつ、さりげなく音律などの話も挿入するという消極的な成功例か。
ただ、別に(ry
【批評祭参加作品】日本のポスト・シュルレアリスム序説㈠ / 石川敬大
http://po-m.com/forum/showdoc.php?did=201167
主張と参考文献のバランスが優れているし、文章も全体的に読みやすい。少なくとも自分は楽しめた。
けど詩に親しみがない人からはどうだろう。かといって、これ以上背景描写に傾くと暑苦しくなってしまうし。
一応基準点とでもしておくべきだろうか。
【批評祭参加作品】つめたくひかる、1―江國香織『すみれの花の砂糖づけ』 / ことこ
http://po-m.com/forum/showdoc.php?did=201263
内容的には、2―江國香織『すいかの匂い』も含めて、
このエッセイでは、「つめたい」はいずれも爽快な、プラスイメージで用いられている。というだけの話だが、引用部分以外にも江國香織的世界が溢れており筆者の愛着が伺える。
これに対して、『すいかの匂い』における「つめたい」が不安的な、マイナスイメージを抱かせる場面で用いられている
【批評祭参加作品】 それは水の話ではなく / たりぽん(大理 奔)
http://po-m.com/forum/showdoc.php?did=201281
こういうふうに、如何にも「詩は崇高なものであります」というような態度を私は批評においてすべきではないと思う。
勿論しても構わないが、その分だけ詩はつまらなくなり、その分だけ一般人からの敷居は高くなるということを、忘れないでほしい。
【批評祭参加作品】ネット詩批評 / 相田九龍
http://po-m.com/forum/showdoc.php?did=201310
いつになく無難にまとまっているが、虎の威を借る狐という印象は拭えない。
肯定的に見てもせいぜい参考リンクという感じ。距離を置きすぎだ。
『批評際参加作品』私が読みたい詩-実存と世界性 / ダーザイン
http://po-m.com/forum/showdoc.php?did=201328
当人も認めているように常の鋭利さはなかった。ただ、コントラ氏の詩は改めて良いものだと思った。
批評対象が明らかに秀逸だと本文が駄目でもそれっぽく見えちゃうから卑怯だよなぁ。
賞賛・批判という方向はどうあれ、つまらない作品を「ひょっとして面白いんじゃね?」と錯覚させてしまうような批評。
あるいは面白い作品ならもっと素晴らしいものと思わせてくれるような批評が読みたい。
【批評祭参加作品】停滞が継続していくこと。 / いとう
http://po-m.com/forum/showdoc.php?did=201350
自分でも再三自嘲しているが、(それも含めて)老害だろあんた。
今更何が言いたいんだ? 年寄りの繰り言ならもっと重みのあること言えよ。
まったく目を覆うばかりである。
こんなところ、か。
さて、本当にフォーラム会員は批評祭の批評をまったく読まなかったのか。
いまいち盛り上がりに欠けるのは彼らが読まなかったから、あるいはポイントをあげなかったからなのか。
あなたはどう思いますか?
私は大村さんの、岡部さんの、角田さんの批評の面白がり方を知っている。
しかしね…、あまりに内省的過ぎるよ。
狭い詩の世界で更に閉じこもってどうすんの?
作品を、あるいは詩をというものをやたらと有り難がって、喜んでるのはあなた達だけだよ。
作品の巧拙なんて些細な問題に価値を置くな。
偉大な作品も低劣な作品も、誰もが等しく創造的に扱えるその垣根のなさに価値を置こうぜ。
そうすることで詩の文化は豊饒さを増していくし、批評が担える文学上の存在価値みたいなもんがあるんならそこなんじゃないのか。
ま、何をおいても一番はまず詩を書くことだけどね。さぁみんな、詩を書こうか。